海の中で見つけたのは
あたらしい自分でした。
波立つ海面を通した光が上から降り注ぐ青一色の世界。そして、まるで宇宙のような浮遊感と、見たことのない景観や生き物。日常からすっかり解き放たれるこの非日常感こそ、スキューバダイビングの魅力です。いくつものグッドポイントを擁する東伊豆でスキューバダイビングを楽しんでみませんか。
伊豆半島が日本のダイビングシーンをリードするエリアと言われる中、東伊豆は都心から車で2時間ほどで着き、電車でもアクセスしやすく日帰りダイビングの人気エリアです。今回はその中でもビギナーにとってなじみやすい稲取(いなとり)地区を取り上げ、始め方やスポットの魅力を紹介します。
「最初はただただ怖くて
呼吸をするだけで精一杯。
今は“たくましくなったね”って
まわりの人に言われます(笑)」。
ダイビングへの世界への第一歩は体験ダイビングです。はじめに器材の使い方、水中での姿勢や体の使い方、呼吸や耳抜きの方法、コミュニケーションのためのハンドシグナルなどを学んだ後、浅瀬から水に慣れていきます。潜水時間は20~30分程度が一般的。今回撮影にご協力いただいた稲取マリンスポーツセンターでは、レクチャールームで講習を行った後、実際に海に入る前に大型プールでのレクチャーを行っていて、より安心です。「水中でも呼吸ができる」ことは知ってはいても、身をもって体験すると、それだけでも感動があるうえに、生で見る海中の世界はあなたの心をきっと強くとらえるはずです。
体験ダイビングは、水深の浅いところをインストラクターに連れられて潜る、あくまで体験。「ダイビング」と聞いて想像する自由で優雅な海中遊泳を楽しむには、「Cカード」という認定証が必要です。Cカードにはさまざまなランクがありますが、先頭のガイドの後をついていく、いわゆる「ファンダイビング」を楽しむには、初級の「オープンウォーター」レベルの取得でも可能。水深18mまでの潜水ができるようになります。3日間、最短2日間の講習で取得できますので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょう。
ダイビングには浜辺から海に入る「ビーチ」と、船で沖に出てから入る「ボート」、2つの方法がありますが、稲取はどちらも楽しめ、ビーチで入る水深の浅いところでも、稲取港ではイソギンチャク畑に潜むクマノミやエビ、砂泥底に潜むハゼ類、巨大アカエイの群れが観察でき、水深17mほどの藤三(とうさん)ビーチではキイロウミコチョウなどのマクロ系から、ウミガメ・ネコザメ・トビエイ、さらにタツノオトシゴとの遭遇も期待できます。一面に広がる真っ白な砂地が美しい志津摩ビーチも見どころです。最寄りの「稲取マリンスポーツセンター」は今回撮影協力をいただいた施設。大型の温水プールを備え、インストラクターも多く輩出してきた信頼のおけるスクールです。
稲取マリンスポーツセンター
稲取マリンスポーツセンターの体験ダイビングは1日2回(現地集合時間9時/13時)で通年開催。集合から海でのダイビングまで含め約3時間のプログラムです。
電車で行く方については9時00分または12時54分伊豆稲取駅着の電車にて駅に集合し、送迎対応。
崖に囲まれた小さな入り江「穴切湾」でビーチダイビング楽しめるポイント。浅瀬のため、資格を取った初心者がセルフダイビングでスキルを磨くポイントにもなっています。砂地の上を泳いですぐに、穴をくぐれる黒い溶岩「水中アーチ」が怪獣のように出現。そこを棲み家にしているカエルアンコウやウミウシ、甲殻類が観察できます。その先も砂地にゴロゴロと溶岩が転がり、それらを彩るソフトコーランや、イソギンチャク、クマノミ、カスザメやトビエイの姿を見ることができ、こうした水深18mまでの浅瀬でも海中の多彩な表情が楽しめるのが熱川の魅力です。また熱川は、熱川温泉やバナナワニ園など、アフターの楽しさも充実しています。
熱川ダイビングサービス
北川は船で5分ほど沖に出て潜るボートスタイルのダイビングポイント。1回の船に乗れる人数9人×3航の1日27人限定で、混んでいない海で潜れます。最大水深は約25m。北川の魅力はウミトサカやフトヤギ、ウミウチワなどのソフトコーラルに覆われた根があり、まるでお花畑とたとえられるカラフルな光景。起伏に富んだダイナミックな地形も目を驚かせてくれ、夏から秋の魚の群れも圧巻です。また、波打ち際にある露天風呂「黒根岩風呂」も魅力。四季折々の景色と潮騒を感じながら、ゆったり疲れを癒せます。
ダイブグリーン
佐藤美空さん
ダイビング歴は約1年。学校の授業でオープンウォーターの資格を取る機会があったのがダイビングを始めるきっかけでした。東伊豆の海は透明度が良くて、ポイントごとに見どころが違うので何回潜っても楽しい、そこが魅力ですね。初めは呼吸をするだけで精一杯でしたが、経験が30本を超える頃からまわりを見る余裕ができて、どんどん好きになりました。今はダイビングマスターの資格に挑戦中で、もっといろんなポイントで潜ってみたいと思っています。
スクールが一人での参加を歓迎しているうえに、友だちと都合を合わせる難しさもあって、ひとりで始められる方が多いダイビング。けれどダイビングは安全のために「バディ」と呼ばれる相棒が必須で、インストラクターや同じスクール参加者と一緒に潜ることになります。困った時に助け合ったり、同じ感動を共有する中で、多くの方が友だち関係を実らせています。ダイビングを通して、あなた自身の可能性とともに、友だちも広げて、毎日を豊かにしてください。